今年一番の思い出「Grapevineのライブに行ったこと」
わたしの宝物をご紹介します。
Grapevineが今年リリースしたニューアルバム「ROADSIDE PROPHET」です。
CDの現物なんて最近ではなかなか見ませんよね。わたし自身、現物を購入したのは恐らく10年以上ぶりなんじゃないかと思います。
今日はこれを購入するに至った経緯でも書いてみようかな。
前回の記事はこちら。
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Grapevineのライブを見てきました
今年の10月にGrapevineのライブに行きました。
Grapevineは青春時代から折に触れてずっと聴き続けており、そして現在でも変わらず好きな数少ないバンドの1つです。
変な話ただライブを見に行くだけなのに、会場が地元の小さなライブハウスだったためか「あの、ずっと愛してやまないあの、『Grapevine』のメンバー達とついに会えるのだ」みたいな妙な緊張感が芽生えてしまい、当日まで行こうか行くまいか迷い出す始末。
完全にアホです。
とにかく!当日は無事にライブ会場に行くことが出来たのでした。我ながら何をやってんだか。
Grapevineは正真正銘のミュージシャンだった
わたしがすごいミュージシャンに出会った(いい音楽を聴いた)際に常々感じていることがあります。
かなり抽象的な話になってしまうのですが、歌にしろギターやピアノなどの楽器にしろ、すごいミュージシャン達の演奏からは、「歌を歌っている」「楽器を弾いている」という現実的な印象よりも、何というんでしょう、別の世界にあるその曲の「本質」の様なものが、その人の歌や楽器を通してこの世界に召喚されているように感じるのです。
わたしはこの状態にある人を「音楽の門が開いている人」と勝手に呼んでいます。
例えば、ビル・エヴァンス(もちろん門が開いている人)のアルバムを聴いている時、わたしは彼のピアノが上手いか下手かを意識してはいません。
そこから聞こえてくるのはただただその曲の持つ繊細さ、切なさ。つまりはその曲の世界観をダイレクトに感じ、心動かされるわけです。ビルエヴァンスの大きく開いた音楽の門から、別世界にある音楽そのものが溢れ出てきている感じ。
別に難しい曲に限った話ではなく、例えばNHKのおかあさんといっしょを見ていても同じように感じるときがあります。ひょうきんな歌をひょうきんに歌い踊るおにいさんとおねえさん。恐らくものすごく歌の上手い人たちなのでしょうがそんなことはどうでもよく、その歌が終わってふと気が付いてみると笑顔の自分がいることに気づいたりして。これって完全に門が開いていますよね。
逆に、この門が少しでも閉じてしまうと「このピアノすごく難しそうだなぁ」とか、「この人こんな難しい歌をよく歌えるなぁ」とか、そんなことを思い始めるわけ。ニュアンスが伝わりますでしょうか。
まぁどちらにしろ、わたしの個人的な感じ方なのです。
そういう意味で、Grapevineは完全に音楽の門が開いているバンドでした。
バンドが奏でる音楽はステージ上で一体となり、それがボーカルである田中和将さんを通して飛び出してくるような。「歌を歌っている」のではなく、その口からは音楽の塊が解き放たれているように思えました。
今まで何度かプロのミュージシャンのライブに足を運び、いわゆる舞台というか、ミュージカルもいくつか見ましたが、こんなにすごいライブ、そしてこんなにすごい歌を聴いたのは初めてでした。ダイナミクスがコンパクトにまとめられたCD音源からはとても想像できなかったことです。どんなにミキシングが上手くとも、きっとあのパワーを音源に収めることはできないのでしょう。
わたしはライブハウスの中で時に立ちつくし、時に激しく動き、時に涙し、気が付くとあっという間の2時間が終わっていました。
終始圧倒されっぱなしのライブが終わった後、火照った頭をフラフラさせながらも真っ直ぐ家に帰り(ライブを見る前はビールの一杯でも飲んで帰ろうと計画していたのですが…)、ぼんやりとAmazonでアルバムをポチったと。そういうわけ。
とてもいい経験でした。
以前父とジェフベックのライブビデオを見ていた時、父がゲストのベーシストに対してぽつりと言った一言。
「このベースはあんまり上手くないんだよなぁ…。もっといいの連れてくればいいのに。でも何を弾いてるかはわかるよな。プロっていうのはそういうことが出来る奴らなんだよ。すげぇなぁ。」
確かに。
やっぱりプロはすげぇ。
これから長く音楽を楽しんでいく中で、自分の門もいつの日かもう少し開くといいのですが。現状悲しいぐらいにピタ~ッと閉まっているので 笑。あっちの世界に行ったらどれだけ音楽が楽しくなっちゃうんでしょうか。想像するだけでシビれてしまいそう。
まぁ、ゆっくり楽しんでいこうと思います。
以上、今日は今年一番の思い出「Grapevineのライブに行ったこと」について書きました。
それでは。