Wavesのプラグイン「MASERATI VX1」の使い方と音色紹介
Wavesのプラグイン「MASERATI VX1」の使い方を解説します。
Wavesでは「The Waves Signature Series」という名の、世界トップのプロデューサー、エンジニア、ミキシングエンジニアの協力のもと、そのワークフローをそのままプラグインにしてしまおう、というコンセプトのラインナップを展開しています。
今回ご紹介する「MASERATI VX1」は、そのThe Waves Signature Seriesのラインナップである「Tony Maserati Signature Series」の内の1プラグインで、アリシア・キーズ、ビヨンセ、ブラック・アイド・ピーズ、アッシャーなど、主にR&Bアーティストを手掛けるエンジニアであるトニー・マセラッティーさんの、特にヴォーカルトラックでのワークフローを再現したプラグイン。
使い方は簡単ですが、個人的に効果は抜群だと感じています。
前回の記事はこちら。
→Wavesプラグイン「NLS(Non Linear Summer)」の使い方と音色紹介
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MASERATI VX1 の使い方と音色紹介
解説の前提として、わたしが使用しているDAWは「SONAR Professional」です。
以下のマニュアルを参考に、わたしなりの解釈で解説を進めていきます。
参考:WAVES MASERATI VX1 User Guide
低レベルの英語力で無理やりやっつけています。ニュアンスや表現に齟齬があるかもしれませんが、ご了承くださいまし。
各パラメーターの解説
始めに、MASERATI VX1の各パラメーターを解説します。
SENSITIVITY
インプットレベルを調節します。インプットレベルが大きいほどプラグイン全体の効果が増すので、注意して設定する必要があります。
SENSITIVITY LED
SENSITIVITYつまみの上にあるインジケーターです。
色の変化で適切なインプットレベルを教えてくれますので、調節する際の参考にしましょう。
※以下マニュアル表現まま
・緑色…Good
・黄色…Optimal(最適、最も良い、というようなニュアンスです)
・赤色…Hot
BASS
低音域をイコライジングします。
COMPRESS
コンプレッションの適用量を調節します。
AIR
サウンドに「空気感」を加えます
※後述の「TYPE」でContour 3を選んだ時のみアクティブになります
TREBLE
高音域をイコライジングします。
OUTPUT
アウトプットボリュームを調節します。
TYPE
MASERATI VX1のエフェクトタイプを以下の3種類から選択します。
・Contour 1 …スタジオ、またはスモールルーム風のエフェクト
・Contour 2 …リフレクティブなプリディレイのある、比較的大きな空間を意識したエフェクト
・Contour 3 …速いテンポ向きな、とても小さな部屋・空間をシミュレートしたタイトなリバーブと、それに合ったプリディレイ。
INSERT/SENDスイッチ
以下、2種類のプラグインモードを切り替えるスイッチです。
・Insertモード…コンプレッション、EQ、他エフェクトを含む全てのプロセスを利用できるモード。普通にインサートする場合はこちらのモードでいいんじゃないかと思います。
・Sendモード…エフェクトセクション(後述するDLY/DLY MIX/DECAY/VRB TONE)のみ使用可能。センドリターンでの使用を想定されたモードのようです。
※Sendモードにした際に使用できなくなるコントールはグレーアウト表示になります
FX
エフェクトセクションにセンドする信号の量を調節します。
DLY
ディレイタイムを調節します。
高い値では長いディレイタイムとなり、短い値では短く、密度の高いディレイタイムとなります。
DLY MIX
ディレイの量を調節します。
DECAY
リバーブが減衰する速さを調節します。
VRB TONE
リバーブの音色(いわゆるトーンですね)を調節します。
METER
以下のMETERスイッチで設定したシグナル(インプットかアウトプット)をモニタリングし、表示します。
METERスイッチ
METERに表示するシグナルのタイプを、【インプット】か【アウトプット】より選択します。
クイックスタート【基本的な使い方の流れ】
以上を踏まえて、MASERATI VX1の基本的な使い方を、マニュアル「クイックスタート」の項を参考にご紹介します。
1.ボーカルトラックにMASERATI VX1をインサートする
MASERATI VX1はボーカルトラックでの使用が前提になっているプラグインですので、ボーカルトラックにMASERATI VX1をインサートしましょう。
とはいえ、わたしが使用した印象ではかなり汎用的に使えるプラグインですので、イメージに合いさえすれば、どんなトラックにインサートしても効果を発揮するのではないかと思います。
2.3つのContourタイプを切り替えて、好みの音色が出来上がりそうなスタートポイントを見つける
Contourのタイプはこのプラグインの方向性を大きく左右します。3種類を注意深く検討しつつ、作成中の曲風に最も合うタイプを選択しましょう
3.Sensitivityコントロールでインプットレベルを適切に調節する
Contourタイプが決まったら、Sensitivityつまみでインプットレベルを調節します。インプットレベルが大きければ大きいほど、プラグインの効果も強くなります。
一応LEDがありますのでそのカラーを参考にしつつ、最終的には自分好みに調節すればいいのではないでしょうか。黄色が最適、とのことですが、わたしの場合はLEDが点灯するかしないか程度の、微細な効果がちょうどいいと感じることの方が多いです。
4.その他のコントロールを適切に調節
最後に、ベース、トレブルなどのEQ関係や、エフェクトセクションの空間系コントロールをお好みで調節します。
以上が基本的な使い方のフローです。簡単ですよね。
一応マニュアルに沿ってご紹介しましたが、無理にこの順序通りにやらなくても、直感でいけてしまう柔軟さがあるプラグインだと個人的には思います。
MASERATI VX1 音色紹介
最後に、MASERATI VX1の効果を音源でご紹介しておきますね。
音色紹介に使用する音源は、以下のシリーズで作曲した「ネイル」という曲です。
・オリジナル曲「ネイル」(作詞/作曲/編曲/歌 町田キリコ)
そして、この曲のラスト大サビのボーカルトラックのみを取り出し、プラグインをすべて剥ぎ取ったものがこちらです。
・ボーカル
恥ずかしいですな。
それではこの音源に、MASERATI VX1の3タイプをそれぞれ適用していきます。各コントロールはすべて真上に設定しました。
・Contour1
・Contour2
・Contour3
以上、3タイプの比較してみましたが、いかがでしょうか。
ただMASERATI VX1を挿しただけで、コンプ、EQ、リバーブ、ディレイなど、総合的な効果が得られたのがわかるかと思います。
あとはクイックスタートの通り、この中から好みのタイプを選んで各コントロールを調節していくだけ。
試しにContour1をベースとして、もう少し自分好みな音質になるよう調節してみました。
SENSITIVITYつまみでインプットレベルを増やし、低音をわずかにカット、コンプレッション量も減らしました。空間系もちょこちょこといじりましたが、とにかく簡単です。あれこれ考えず直感的に作業が出来るので、わたしのようなDTM初心者には特におすすめです。
最後に、今回は「Tony Maserati Signature Series」の中でも特にボーカルトラックに使用する「MASERATI VX1」の使い方をご紹介しましたが、Tony Maserati Signature Seriesには他にもベース用のものやドラム用のものなど様々な種類のプラグインが用意されており、それらを曲全体のトラックに満遍なく使用することで、その真価を発揮します。
今後、少しずつ他プラグインの記事も書いていこうと思っていますので、お楽しみに。
以上、Wavesのプラグイン「MASERATI VX1」の使い方の解説と音色紹介でした。